床下の秘密 -ボックスカーのクッションシステムー

本日もケンズレールロードへ

ようこそお越しくださいました。

 

自転車で凸凹道を通ると、腰

が痛くなるほど直接的に衝撃

が伝わってきます。 ところが、

同じ道を車で通ると自転車ほ

ど強い衝撃は感じません。

 

「ふんふん、そういわれると

そやなー。

くるまにはなんかバネとか

はいってるんとちゃうの?」

 

ピンポーン、その通り! (^o^)

車の車輪には道路からの衝撃

を和らげるためのサスペンション

システムが備わっているんだよ。

 

サスペンションで衝撃を和らげ

ている要の一つはコイルとか

スプリングと呼ばれるバネで、

昔は「発条」とも言いました。

けれども、このバネだけでは、

車体がいつまでもボヨンボヨン

と揺れ続けます。 バネが衝撃

を吸収した後に、このボヨンボ

ヨンを速やかに静めてくれる

(制振)のがショックアブソー

バーやダンパーと呼ばれている

緩衝装置です。  通常は油圧

(Hydraulic)を使っていますが、

空気などの気体を使用している

ものもあります(エアサスペンシ

ョン)。

 

「くるまののりごこちがええ

のはわかったけど、鉄道

となんのかんけいがあん

の、おじちゃん? 」

 

これがねー、おおありなんだよー。

 

アメリカの鉄道では50年代に

主にボックスカーで同様のクッ

ションシステムが使われ始めま

した。 製造したのはPC&F

(パシフィックカー&ファンド

リー)などの貨物車製造メー

カーですが、供給を受けた鉄道

会社ではそれぞれ独自の名称

が与えられています。

サンタフェ鉄道の「ショック

コントロール(Shock Control)」

や「スーパーショックコントロ

ール」が有名ですね。

 

「サザンパシフィックにも

おんなじようなんがあっ

たなー」

 

おー、よく知ってるねー(^^

 

けれどね、サザンパシフィック

とスタンフォード研究所が開発

した同じ目的の「ハイドラクッシ

ョン(Hydra-Cushion)は実は

構造が違うんだよ。

違いは後で話すね。

 

PC&Fのシステムは、最初に

お話した車のサスペンションと

構造は異なっていますが、バネ

と油圧ダンパーが肝になってい

ることは同じです。

庫内の床をフレームから分離させ、それらを油圧ダンパーとスプリングで制御します。

車両のフレームと庫内の床は

分離(インシュレート)されていて

それらが油圧式(ハイドローリック)

のダンパー(図内中央赤丸)と

制振用のスプリング(車両端赤丸)

でつながっています。

サザンパシフィックの「ハイドラ

クッション」は車両中央で油圧

装置を使うことは同じですが、

制振にスプリングは使用せず、

油圧装置上に直結させた独自

開発の「フリクションプレート」

システムを使用しています。

 

「どっちにしても、

これで中の荷物もちょっと

あんしんやねー (^-^) 」

 

貨物列車の衝撃はすごい

から、壊れやすいものでも

これを使うと随分違うだろう

ね。

 

「自転車と車ののりごこちの

ちがいやねっ!」

 

だから鉄道各社は競って

この効果を宣伝したんだよー。

「滑らかな乗り心地!」

「壊れ物にぜひどうぞ!」

ってね。

実はね、ウィールズオブタイム

(Wheels of Time)製のボック

スカーには、このシステムの

床下から見える一部分がちゃん

と再現されてるんだよ。

 

Nゲージの貨物車両でも、床下

機器をきちんと再現しているメ

ーカーが増えてきました。

ウィールズオブタイム社以外

では、アトラス社、イースタン

シーボード社、フォックスバ

レー社、ブルファードショップ社、

マイクロトレインズ社、イグザク

トレールな社どです。

50ftボックスカーの床下サンプル3種。

通常は、縦横の骨格シャシーと

エアタンク、エアシリンダー、

エアパイピング、伝達ロッド類

が別部品で立体的に再現され

ています。

これらに加えてウィールズオブ

タイム社のPC&F車両には

中央の油圧デバイスと両端の

制振スプリングがきちんと

表現されています。

床下から見える油圧デバイスとスプリング。

車両名の「「インシュレーティッド

(Insulated)」が、床とフレーム

が分離した構造になっている

ことを示しています。

 

「あー、それはそういう

いみやったんやねー (^^)」

 

だから、実物車両の床下を覗く

ことができれば、ボディのレタ

リングやスローガンを見なくても

クッションシステムがついている

かどうかはわかるんだよ。

 

「かんけいないけど、カプラーの

うえにみえる穴のあいた踏み

板もなかなかやるなー (^o^)」

 

社長のマットさんはね、とても

いい人で、Nゲージの車両種

が少ないことを仲間と嘆いて

いるうちに自分で作ろうと思っ

て20年ほど前に自分で会社

をおこしたんだって。

いつもとても優しく対応して

くれて、おじちゃんのホーム

ページを見て褒めてくれたん

だよー \(^0^)/

 

注文数が少ないと大事にされ

ないケースもあるので、マット

さんにはとっても感謝してい

ます。

 

みなさんも、どうぞお持ちの

貨車の裏側もよーく見てあげ

てください。  そして油圧装

置やスプリングが見えたら

にんまりしてくださいねっ d(^_^)

 

それではみなさま、

また次回までさようなら (^0^)/